こんにちは。友衿着物教室です。今回のテーマは浴衣を日常着(日中着)として着る時のポイントについてお話していきます。
なかなか着物が日常的に着られることが少なくなった現在、それでも浴衣を日常着として着たいという方は、やはりそれなりのこだわりがあると思います。浴衣を着てのんびり癒されたい・・・違う自分を発見したい・・・日本文化に馴染みたい・・・色々な思いがあると思います。このような思いをぜひ大切に、日常着として浴衣を少しでも楽しんでいただけるようお話ができればと思います。
浴衣姿の印象的な人
この方は銀座の町内会の方のようでして、町内の仕事で用事を済ませるべくちょっと近所に出てきたという感じの着方です。銀座でお出かけとして気張って着てる、という姿とは違った本当に着慣れた人の着方でした。深川や銀座あたりに出向くと、そのような方を見掛けることがあります。
普段着物(浴衣)をかっこよく着るというのは、「着慣れる」「見慣れる」これがすごく大切なことです。少しづつでもこのような経験を積まれることが印象的な着姿の着物上級者になるためにはやはり欠かせない部分ですよ。
1.浴衣を家の中で着る時の着方
浴衣生地の中で、一番馴染まれている「コーマ地」が日常用の浴衣に良いでしょう。柄は小紋柄でもよいですが、男性的なシンプルが柄や幾何学模様のようなものを選びます。
コーマ地の柄には花火大会にいくような飛び柄のもの、大きな花柄のものなどありますが、日常着として着るには控えた方がよいでしょう。家の中だけであまり気にならない・・・という方はよいですが、日中着として考えると小紋柄だったり、シンプルなお柄がおすすめです。
帯は、半幅帯・博多帯・兵児帯が良いですよ。
半幅帯を締めるのであれば、ちょっと長めのものを選びましょう。一般的な半幅帯は3m80cmほどで、長めのものは4m30~50cmほどです。お太鼓一つ分長い作りで「変わり結び」ができるのが特徴です。結び方の種類がたくさんあるので、帯結びの練習にもこの長さがあると便利です。
半幅の結び方は、30歳すぎたら文庫結びでは無い方が無難です。文庫ですと年齢に対して可愛いすぎる印象になるので、貝の口、一文字、文庫なら片側だけ流した文庫、等の結び方が合います。
2.浴衣を着姿全体から考える
着物全般にいえることですが、やはりお出かけ着であっても日常着であっても全身のバランスを確認することが大切です。
先日近くのスーパーでお見かけした40代のご夫婦で旦那様は甚平を奥様は浴衣をきていました。8月の情緒に合ったご夫婦の姿に目がいったのですが、浴衣の種類とかんざしの選び方がもう少しよければ尚良かったなと記憶に残ったのも事実です。
奥様の浴衣は花火大会に着ていくような花柄のものでした。落ち着いた色合いのものでしたが、やはりそのような浴衣は日常着・日中着として着るには少し厳しいと感じます。わざわざ高級浴衣を着る必要はありませんが、綿絽や綿麻、綿素材で、柄は小紋柄のような浴衣が良かったように思います。
またそれ以上に残念だったのがかんざしでした。大振りのつまみかんざしだったのです。可愛くて良いのですがつまみかんざしは夏には少し暑苦しいのです。例えばトンボ玉のついた涼やかなかんざし等でしたらよいでしょう。
小話:着物の決まりごとは絶対ではありません。
着物の書籍には最低限のルールは載っています。しかしそれ以上の部分は自分で鍛えていくしかありません。美しい着姿を目指すのであれば、先ほども言いましたが「着慣れる、見慣れる」そのような機会を増やしていくしかないでしょう。
現在の和文化は、戦後に裏千家の塩月弥栄子さんが出版し大ヒットした「和の事柄の本」を基本にして作られたようなところがあります。また現在売られている着物の本に書いてあるルールや着付けなどは、戦後に着付け教室が作ったものです。昔は親が教えていたものが廃れたため、着付け教室が教えやすくするため一応の決まりごとを作ったのです。
ですから、本や教材にある決まりごとは最低限覚えておくべきではありますが、絶対的なものではない、というのが私の本音です。もちろん、着物の入門者が最低限のルールを知っておくためには必要なものです。ですがある程度着物の理解が深まったのであれば、あとは素敵な着方の人を見るのが一番です。
少し話がそれましたが、お着物を楽しく自分らしく着るためには、本にかかれたルールに縛られすぎず、ご自身の感性を磨いていってほしいと思います。
3.浴衣で近所に出かける時の着方
綿絽や麻、綿麻の浴衣を選びます。コーマ地を選ばれるんでしたら、柄をシンプルな小紋柄などにして、色味も男性的な落ち着いた色合いのものを選んでください。
近所に出かけるくらいでも、手ぬぐいなどを使った半衿を付けましょう。コーマ地でしたら衿はつけない方がシャキッと粋に着れます。
足元は下駄で白足袋でも良いですが、ナイロンレースの足袋がおすすめです。草履は合わせません。カレンブロッソは草履ですがこれならちょっとした外出であれば合わせてもよいでしょう。しかし台がウレタン製で暑苦しい印象になりやすいので、白っぽい色味の台を選び鼻緒も夏らしいものを意識して選んでください。
帯は、家の中で着るときに紹介したもので良いです。半幅帯・博多帯・兵児帯を合わせましょう。
4.日常浴衣の肌着について
綿絽浴衣の場合は少し透ける織りなので、下にステテコなど履くとよいでしょう。透けない素材であれば、下に履く必要はないですよ。ワンピース肌着に浴衣で問題ありません。しかし衿を付けたいときに、ワンピース肌着は付けにくいので、そんな時は衿つきの肌襦袢などを着ると良いでしょう。長襦袢を着る必要はありません。
本日紹介した内容は以下の「おしゃべり着物教室」をまとめたものです。お時間があるときに聞いてみてくださいね。
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