草履の種類/基本知識とよくある質問まとめ。

草履の種類と基本知識

草履には着物と同じように格があります。大きく分けてフォーマル用とおしゃれ用の2種類に分けられます。カジュアルな着物を結婚式に着ていかないように、草履にも種類によって向き不向きがあります。

そこで今回は、草履の基本的な種類と楽しみ方、また以前受けたことのある質問事項をまとめましたのでお伝えしていきたいと思います。

草履の基本

1.かかと(台)の高さで草履の格がわかります。

草履はかかとが高いほど「格が高い」と言われています。芯の枚数(芯とは草履の側面に巻かれている巻を言います。)が多いのが「フォーマル用」です。フォーマル用の台の高さは一般的に5~6センチくらいのものと覚えておくと良いでしょう。

芯が何枚重ねてあるかということがおしゃれ草履とフォーマル草履の大きな違いです。お洒落草履は1枚芯だったり、1枚芯に「半月」と言われる物を1枚か2枚入れたものを言い、それ以上高さを出したものはフォーマル用と考えてよいと思います。

また側面からみた美しさを意識して、5枚芯に交互に半月の柄物を入れたりと多様な作りの草履もありますので、店頭などで見比べてみると楽しいですよ。

フォーマル用の「織り」や「革」の草履に関しては、高さが3枚芯の草履が主体で鼻緒は布や帯地で金銀が入ったものが多いです。革の草履では、3枚とか5枚芯で、側面が豪華な色柄の半月が多く使われています。

以上一般的なお話をしましたが、最近では多種多様な草履が出てきております。1枚芯でも、踵が高く螺鈿が入ったり、草履の革そのものに豪華な模様が入ったのもありフォーマル用として履かれても遜色ないですよ。

2.草履に使われる素材。

織り(フォーマル着)

「佐賀錦」「西陣織り」など織りの草履はフォーマル用としてバッグとセットで売られています。フォーマル着物の場合はこれを合わせると間違いないでしょう。

合皮(お洒落着から準フォーマル着くらい)

合皮の草履の格はお洒落用が基本と覚えておくと良いです。一見本革と見分けにくく、お値頃なのでよく利用されています。作りによってはフォーマル使いのものもありますので、汎用性がある草履です。

欠点といえば、長い期間が経過しますと合皮が剥がれてきて履けなくなることがあります。

本革(お洒落着からフォーマル着まで)

牛革を使用しエナメルで塗装している草履です。種類が豊富で、合皮に比べ耐久性に優れ履心地がいいです。しっかり手入れすれば2代に渡って履けるものです。

こちらはお洒落着用からフォーマル用としても幅広く売られています。

帆布(カジュアル着からお洒落着まで)

丈夫な帆布を使った草履です。滑りにくく履き着心地がいいのが特徴です。ただ、布ですので汚れが落ちにくいという欠点もあります。お洒落からカジュアル使いの草履です。

残布(カジュアル着からお洒落着まで)

たとえば道行コートを作ったときの残り布など着物の布を使って草履にすることもできます。そうするとセットで装えますよね。またバッグも一緒に残布で誂えることもできます。これはとても楽しいですよ。

誂え料金が1〜2万円というお店もあるのでご自身で好きな草履を作ってみるのもおすすめです。

ビーズ (カジュアル着からお洒落着まで)

びっちりとビーズをひきつめた豪華なものもあります。冬以外の3シーズンは使えますよ。これもお洒落着用として楽しめます。

3.おしゃれ用とフォーマル用の違いを知る。

おしゃれ草履(普段草履)

普段草履には”合皮”や”帆布”で作られたものがコストが安くて便利です。基本3シーズン(春秋冬)使用します。

夏は夏草履があり、夏の涼しさを感じさせる麻・パナマ・ビーズなどで作られたものを夏のお洒落用として履きます。

フォーマル草履

SPONSORED LINK

フォーマルは季節関係なく春夏秋冬4シーズン使えます。フォーマル用として「佐賀錦」や「西陣織」など織りの草履とバッグのセットで売られています。また第一礼装用に「畳表の草履」というのもあるので覚えておくと良いでしょう。

その他「革製」や「合皮」でフォーマル用があります。フォーマルの場面でビーズバッグを持つ際に牛革や合皮のフォーマル草履を合わせると良いですよ。

 

 

エナメルのバッグと草履セットはフォーマル用?

これは振袖に合わせるようにセットで売られているものがほとんどです。大人のフォーマル用として選ぶ時は、「織り」のもので、金糸や銀糸の入ったものを選ぶとよいですよ。

 

小話~オリジナルな誂え草履~

伊勢丹新宿店の7階で、年に何回か参加されている履物屋さんは、高級なバッグをリメイクして、草履を作ってくれたりもします。又一般の呉服屋さんでも着物の残り布で草履を作ってくれたりもしますので利用なさったらいいと思います。

私の知人で、ご主人の羽裏を使ってとっても洒落た草履を作ったことがあります。料亭などに行くたびに、素敵な草履ですねって褒められると喜んでおりました。草履職人さんからは、羽裏は薄いのでちょっと難しいですなんて言われましたので、今後は作ってもらうのは難しいかもしれませんが、でも素敵なオリジナルな草履が出来ます。

皆さんも、お好きな素材で、作られたら楽しいと思います。職人さんと要相談ではありますが、これも、着物生活の楽しみです。

草履Q&A

草履はサイズだけで選ぶもの?

草履を選ぶ際は、「サイズ」と「鼻緒のきつさ」を見て決めます。

草履には だいたいS / M / L /LLとサイズがあります。草履を選ぶ時はSやMなどのサイズと共に、「鼻緒のきつさ」も見るんです。甲の高い人や幅が広い人など色んな人がいますのでご自分の足の特徴に合った草履を選ぶことが大切です。ですからSサイズMサイズなどだけでは決められないとまずは覚えておきましょう。

草履を買う際にできれば試しばきさせてもらうのがいいのですが、誂えでなく既製品の場合はそれが出来ない店舗もあります。そういう時はお家に帰ってすぐに試しばきをしてみて、痛ければ早めにお店に持って行って鼻緒を緩めてもらうか商品を交換してもらうのがいいと思います。

また草履の台、色、鼻緒を選んで作ってもらう方法があります。草履屋さんが台に鼻緒をすげてくれて(仮につけてくれて)、その人のサイズに合った鼻緒になるんです。

ちょうど良いサイズで履きたいのであれば、一度草履屋さんで作ってもらうと良いですよ。

また最初からゆったりしてるなと感じる鼻緒のものは選ばない方がよいでしょう。鼻緒は履いていくうちに伸びるものです。楽だからとゆったりめの鼻緒を選ぶと後で歩きづらくなります。

かかとが草履の台より出ているほうが良い?

草履のちょうど良いサイズとは、どれくらいのことを言うのか?かかとが草履の台から出ていない方がいいのか?普段履き用とフォーマル用でサイズを変えるのか?という内容のお話をしてみたいと思います。

かかとが草履の台より出ている方がいいのかということですが、着る着物の種類によって、草履も変わってきます。

フォーマルな場合は、台とかかとが同じくらいがいいでしょう。かかとは台から出しません。

しかしカジュアルな着物の場合は、草履の台より少しかかとが出ている(1cm程)方が「粋」と言われています。洒落ています。

例えば、子供が下駄を履いていて、足より大きい下駄を履いているそんなことを連想してみたらわかりやすいかとも思います。確かに、草履の内側にかかとがあると、大人がやると野暮ったい感じがしますね。

そういうことからフォーマル用以外で草履を履く時は鼻緒の深くまで履くのではなくつっかける形で、かかとは少し出た方がいいと思います。

もちろんしゃれ着用でも、かかとと台がぴったりでもかまいません。絶対というわけではないのですが、かかとが草履にズッポリ入っているのは控えた方がスマートですよ。

初心者でも痛くない草履とは?

先ほども言いましたが、まずは足にあった草履を選ぶことです。足に合った「サイズ」と「鼻緒」を選ぶのです。鼻緒がきつい時は本当に辛いものです。まず購入された時には、できるところなら試し履きをさせてもらうことです。

購入してそのまま使用当日まで、履かないというのは大変危険ですよ。既製の草履などは見た目も美しい形にするために、すっきりときつめに鼻緒を付けている場合が多いからです。

家で試し履きをしてみてきついと思った時には、鼻緒をほぐしてみます。それでもダメな時は、鼻緒を外側に引っ張りじっくり伸ばすようにしてみます。

また手で引っ張るのも限界がありますので、ちょっと大きめな足の人、お父様などに履いていただくのもよいですよ。

最近は、鼻緒が太めで足に優しいものがよく出ておりますが、古い草履の鼻緒は特に固く細いものが多いいです。伸ばしたり広げたりするのは難しいかもしれません。どうしても痛い場合は鼻緒を取り替えるてもらいましょう。

履きやすい草履とは?

鼻緒が太く、台の巻が2枚くらいのものが良いでしょう。

最近は鼻緒が太いのが主流ですので全体的に草履は履きやすくなっています。また草履の台が1枚巻のものを私はよく履きますが、このような草履は初心者の方にとっては低すぎて、履きずらいこともあるようです。巻が2枚くらいがちょうど良いですよ。

またお洒落用として最近人気の「カレンブロッソ」なども履きやい草履です。普段着物からお洒落着物などに履けますので初心者の方にはおすすめです。コルク芯と革底の草履をEVA台とゴム底に開発し軽くて履きやすくしていますので初心者の方は履きやすいかも知れません。

成人式用の草履ってどんなもの?NGの草履のは?

成人式用の着物は未婚の女性の第一礼装です。草履も第一礼装用の三重巻きで踵が高く、鼻緒の素材は、布製で金糸銀糸が織り込まれたような西陣の帯を利用した豪華なものを合わせます。また”草履とバッグ”がセットになってエナメルのものがあります。

ですので、第一礼装用のものではない草履はNGです。踵が低いものや、おしゃれ着用の草履などは避けてください。

厚底の草履は成人式用?厚底の草履はその他、どんな着物に合わせるの?

最近は、「フリフ」の斬新的な幅広の巻きが1枚でかかとが高い可愛い草履を履いている人をよく見かけます。草履としては一応の決まりごとはありますが、それを知った上でそういう厚底の可愛い草履を履くのもその人の個性ですから悪くはないと私は思っております。

せっかくの成人式ご自身が一番楽しく可愛く美しく装うのはいいのではないかと思っておりますが、私のような考えではない方もいると思いますのでそこのところはご自分でよく心得た上でご利用になれば良いのではないかと思います。

ウレタンの草履とは?日常用?

ウレタンの草履とは、日常用の普段履きの草履のことをいいます。

一般の草履よりお手軽な価格でありますので普段履きにはとてもいいですよ。ここ十年ほどすごく出ています。ウレタンは、巻にあたる側面が一目でウレタンとわかりますので日常用以外はむいてないと思います。

底がウレタンですので歩いたときに下駄のように音が出ませんので音がするのことに気を使うという方は便利だと思います。

一般の草履は雨にあうと痛みますがウレタンの場合は、水には少々強いところも便利な所かも知れません。

着物を始めたいなという人に一足目に買うのにおすすめの草履は?

合皮で、色味は薄い淡い色の草履で、巻が2枚くらいのものがおすすめです。お手頃なのと汎用性の高さからおすすめです。

準フォーマルあたりから格が上のお着物は、色味が上品で淡い色合いのものが多いので、草履もお着物に合わせて上品で淡い色味が良いですよ。濃い色の草履ですと浮いてしまいます。

また鼻緒の真ん中の付け根のところが素材違い、色違いになっている草履もありますが、そうでないものを選ぶとよりフォーマルっぽく使えます。そちらを選ぶと準フォーマル程度まで合わせられるので、幅広く活用できますよ。もちろんお洒落着やお出かけ着に合わせられます。

草履の基本的なことからよくある質問までアレコレでした。長々と読んでいただきありがとうございました。ではまた次回〜

本日紹介した内容は以下の「おしゃべり着物教室」をまとめたものです。お時間があるときに聞いてみてくださいね。

SPONSORED LINK

投稿者: 友衿着物教室

友衿着物教室のコンセプトは「かしこく、たのしく、うつくしく」。Youtubeで「おしゃべり着物教室」を始めました。講師は華道、茶道、着物と和に携わる着物生活歴40年のToshieと聞き役は義娘Mika(乳飲み子あり)の嫁舅でお送りしております。現在は初孫の誕生したばかりのためイベントや出張講座はお休みしてます。

SPONSORED LINK