お着物の身丈に関するお話

着物 身丈

身丈とは身の丈と書きますように、その方の身長のことをいいます。
肩から上の部分は、着物を着た時のおはしょりにあたります。

よく似た言葉に「着丈」がありますが、これは肩から下の裾まで=衿の付け根の下から裾までの長さ、着物の丈のことを「着丈」と言います。
身丈と着丈はよく似た言葉ですので、間違わないように覚えておきましょう。

身丈とは”ご自分の身長”と考えていただくのですが、
もし身丈が短い時はおはしょりで調整します。仕立て直しを考えない場合は、腰紐の位置で考えていただいたらよろしいかと思います。

着物 身丈が短い時

着物が短いようでしたら、腰紐を腰骨の辺りまで下げる・・・のような調整をするとよいでしょう。

腰紐は着付けの基本となります。ここをしっかりしておかないと、時間が経つと共にどんどん気崩れてきます。
腰紐の位置を下げる場合、動くにつれて腰紐が上にずるずる上がってきてそうすると、ゆるくなってきてしまいます。

それを防ぐために、”補正”をしていただきます。腰骨辺りとぎゅっと締まっているウエスト部分を同じ幅にすることが大切です。「そんなに巻くと肥えて見えて心配」という方がいらっしゃいますが、案外
”寸胴に補正する”ほうが着姿が綺麗に整います。

以上が身丈を腰紐で調整するときの方法になりますが、もし腰紐で調整しても短い場合について、お話していきます。

これは着る着物によって変わってきます。
例えば、普段着物は少々短くても許されます。おはしょりの長さが10cmくらいまでは大丈夫でしょう。

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ですけれど、正装、礼装の場合は帯の下線から人差し指一本分のおはしょりが必要と言われています。この長さがない場合、どのように修正するのかは次にさせていただきたいと思います。

身丈が短いとき、修正方法に2つあります。
1つめは”うちあげ”という形と、二つ目”足し布”があります。

まず簡単な方が”内揚げ”になりますが、これは着物の背中にあたる所をみていただきますと、脇から下の腰あたりに縫われている所があります。これは後に伸ばせるように余分に裏側にあげをして縫いこんであります。

この部分の糸を解いてほどよい長さに伸ばすことで身丈を調整できます。これは昔から着物をを着ているかたの知恵ですね。

着物というのは綿、ウール、特にちりめんの着物は年数がたつうちに洗ったりするのでやはり縮んできます。その時のために、余分に縫いこんであるのです。

もう一つの役割として、裾が痛んできたときに内揚げ部分を伸ばして痛んだ裾を切ってしまえるというのもあります。毎日着物をきていますと、着物の表地の裾の方が痛んできます。とくに大島紬なんて摩り切れやすいなあと思うことがあるのですが、そんな時にも縫いこまれた生地を伸ばし痛んだ裾をカットすればまたきれいに着ることができますね。

内揚げを長くするという方法でした。

もう一つは「足し布をする」ということです。どうしても身丈が足らないときは布を足します。おはしょり部分、腰の帯で隠れるぶぶんに布を足していきます。この時にはやはり同じような着物生地を選んで足してください。

胴裏や表地、衿も解かなければなりませんので、ご自身でするには難しいかと思います。そのようにお考えのかたは仕立て屋さんにお任せするのが良いと思います。
もし仕立て屋さんに頼むのであれば、”筋消し”もしっかりお願いするとよいでしょう。縫ったあとの折り線や針の穴を修正するのが”筋消し”です。帯の下の見えない部分に布を足すので、着た時には基本的にはわからないのですが、この筋消しを頼むとより綺麗に仕上がると思います。

着物 身丈が長すぎる時

あまりにも身丈が長すぎる時の対処方法ですが、おはしょりの所で調整する方法があります。

着物を着る時に身八つ口から手をいれていただいて、おはしょりの位置を指一本分に合わせたら余分な部分は伊達締めや腰紐を使ってしっかり留めあげておきます。

ウエストの細い方は、余分な生地をお腹に巻きつけることで補正にもなりますので、このように留めあげればよいのですが、
あんまりにも長すぎてお腹がごろごろして嫌という場合は、呉服屋さん等で修正を頼む方がよいでしょう。

どちらにしても、正装の場合は「おはしょりが長めがよい(人差し指一本分はしっかりある)」というのは覚えておいてください。

着物 身丈 男性の場合

男性の着物の場合は、身丈というより「対丈」で着ます。おはしょりがありませんので、女性の着物でいう「着丈」で考えていただければよろしいと思います。

裾の最適な長さは、着物の種類によって変わってきますが、
例えば浴衣なんかは長く着るよりもくるぶし辺り、またくるぶしより少し上の長さで着るのが良いですね。

男性は帯を腰でしめますので、お腹のあたりがすこーしふくれている方がかっこよく見えます。手ぬぐいなどをお腹に入れてみたりして、ゆったり着てみるとよいでしょう。そうゆう場合は、少し長めの着丈にしておくとちょうどよいかもしれません。

話はずれますが、
身丈が短い場合、行きが短い場合の話です。
素敵なおじいさんの着姿をみたことがあります。
紬のお着物で、行きに数センチの足し布がしてらっしゃって、裾のあたりにも同じように足し布をしてきていらっしゃいました。
非常にカッコよくて、粋な姿でした。

着物 身丈 おはしょり

今回、身丈ということでお話をしてきましたが、この中でおはしょりという言葉がよく出てきます。
このおはしょりについて少しお話させていただきます。

平安時代の貴族の女性は裾をたらして歩いておりました。江戸時代になりましても、貴族とか上級武士の奥方なども裾をたらして室内を歩いておりました。

しかしお外に出るときですと裾が汚れてしまいます。そこで考えたのが、裾を腰の辺りにたくし上げて裾を汚れないようすることでした。その時に腰紐というか、今でいう七五三で使う”しごき”のような紐「抱き帯」をしていました。しかしそれも煩わしくなったのでしょうか、それを帯の下に留めるようになりました。

ですから、元々は長い丈の着物を着丈に合わせて紐でくくったというのがおはしょりのルーツだったんですね。




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