今回は半衿の素材によってどのような場面で使われるかをお話ししていきたいと思います。
目次
第一礼装 フォーマルの時の半衿
夏以外は塩瀬が一番使い勝手がよくって、”塩瀬の正絹の半衿”がよいでしょう。これならば黒留の第一礼装にも合わせられます。縮緬など素材の半衿もありますが、”縮緬は第一礼装には使いません”。縮緬の半衿とか帯揚げは、礼装用ではないんです。
基本の礼装用の半衿は「塩瀬」になります。
”黒留”や”色留”のお着物についてですが、
結婚式の晴れ晴れしい席上で、親族の方などが着られる黒留などは、椅子に座ると黒地に家紋しか見えません。黒留や色留めのお柄は裾に描いてあるものですので。
第一礼装ですので、もちろんこれらのお着物でよいのですが、
少しでも華やかな印象にしたいという場合は、
「塩瀬の白の半衿に刺繍がついているもの」にすると良いと思います。この刺繍は、色のついた糸ではなくて、基本は「白色の糸の刺繍」です。そこに華やぎを感じさせるような「少し金糸が入ったもの」でもよいと思います。
金糸がたくさん入っているような刺繍の半衿ではなくて、控えめに入っているものの方が良いですよ。
刺繍が豪華な半衿となりますと、刺繍の内容にもよりますが、相当お高くなってきます。2万、3万となってきます。少し出費を抑えたいのであれば、素材はポリエステルですが、豪華に刺繍された塩瀬に見える半衿もありますのでそれがよいかと思います。
縮緬素材の半衿に刺繍のものもよく売られているのですが、やはり縮緬は第一礼装には向きませんので注意してください。素材がポリエステルでも塩瀬風のものであれば第一礼装でもつけらると覚えておいてくださいね。
第一礼装用のお着物は基本、比翼仕立てになっています。黒留も色留めも基本は比翼仕立てになっているのです。しかし、最近は第一礼装用だけではなくって、少し改まった場面でも着られるように比翼仕立てではなくて、普通の仕立てになっていることがあります。
普通の仕立てになっている色留めで、結婚式のようなおめでたい場面に着ていくのであれば、「半衿を白」のもにして、なお、「伊達衿も白」のものをすると、比翼仕立てのような雰囲気になりより改まった場面に着られます。
お手入れについて注意点
正絹の場合は必ず、専門店にクリーニングをだしてください。生地と刺繍糸の素材感が変わったり、、、縮んだりと、せっかくの豪華さが活きなくなることがありますので。ポリエステル半衿の場合はご自身で洗っていただいて大丈夫だと思います。
略礼装 準礼装の半衿
次に略礼装の時の半衿についてです。基本はやはり塩瀬の白の半衿になります。フォーマルからカジュアルまでどんな場面でもつけられます。
フォーマルな場面ではなくて、友人とのお食事などで訪問着を着ていくときなどには、淡い色合いの半衿でも構わないかと思います。※濃い色味の半衿ほど、カジュアル向きになります。
昔お正月明けにお友達と会う時なんかに、淡い紫地に雪持竹文様の縮緬の訪問着を着て行ったことがあります。半衿は着物の色に合わせて着物の色より濃い深めの紫を選びました。この半衿には笹と雀が刺繍されていたんです。
半衿はわずかなスペースにちらりと見えるものですが、自分の好きなものを選ぶととっても楽しめます。お会いになる相手や場面や場所にもよりますが、このように友達と会うような場合であれば、訪問着でも、色のついた半衿を合わせて楽しむのもおすすめです。
普段着物、街着の半衿
小紋のお着物でしたらもっとお好きなムードにあった半衿でも大丈夫でしょう。
カジュアルな紬、たとえば大島紬の藍色のお着物には、真っ白な塩瀬の半衿なんかがとてもきれいによく合いますい。様々な紬があるので、それぞれの色柄やムードにあった半衿を選ぶと良いと思います。
半衿の特徴 正絹とポリエステル編
・正絹の塩瀬の半衿・・・利用範囲が多く、一枚あればフォーマルからカジュアルまでつけられるとても便利な半衿です。正絹ですのでながーく使っていると、色がきばんできます。
・ポリエステルの塩瀬風半衿・・・ポリエステルの場合ですと、きばんできたりしませんが、やはり正絹と比べると重厚感みたいまものがちがいます。第一礼装の時に紹介したような、びっしりと刺繍がされたものですとなかなかわかりにくいのですが、刺繍などが入っていないものですとポリエステルと判別しやすいことがあります。
・ポリエステルの縮緬半衿・・・これも塩瀬風半衿のように、正絹のものと全然風合いが違ってきます。
普段使いならポリエステルの半衿でも・・・
やはり本物の正絹のよさにはかないませんが、半衿の一つの役割として”着物の衿の汚れを防ぐ”という目的があります。半衿は汚れやすい部分ですので、普段使いでは、洗いやすいポリエステルのものの方が重宝するのではないかと思います。
ポリエステルでも刺繍があるもの、特にミシン刺繍などのものは、数千円前後でも売っています。
またポリエステル半衿の柄物にもいろんなものがでています。選ぶのがとても楽しいですよ。何枚かあって、同じ着物でも半衿のみ替えますと着姿のイメージが変わってきます。
特に衿が活きるは、無地のお着物です。また紬なんかは、半衿に影響されて楽しく着られると思います。
自作半衿、ビーズ半衿、レース半衿、組紐の半衿、手ぬぐい半衿
また洋服の生地でとても素敵な生地があったら、着物の半衿にするのもよいですよ。私の昔の着物でといた着物ですが、それで半衿や帯揚げをたくさん作ってきました。カジュアルな装いの半衿に関しては、本当に自由な色や柄が使えるので、ご自身で楽しみながらよそおわれるとよいですよ。
たとえば、呉服屋さんや和装小物やさんで販売されています白の綿のゴージャスなレースの半衿、これもすごく素敵です。しかしお値段が結構しますので、ご自分で綿レースの綺麗なものがあればつくってみるとよいと思います。
私がよく使っている半衿はビーズの半衿です。毎日着るとなると半衿付けって結構面倒なんですが、ビーズ半衿はとても簡単につけられますので重宝なんです。
ビーズ半衿はびっしりビーズが付いている分普通の半衿よりもぽってりとした印象になるのが特徴です。また夏場は涼しくてよいですし、春秋にも良いですね。ただし、真冬にはビーズ衿は向かないということは覚えておいてください。
もう一つちょっとかわったので、”小さなパールがレース糸に編み込んだ半衿”を持っています。これは、くすんだ若草色にパールが点々と編み込んであるのですが、これも、半衿付けが簡単なのと、秋や冬にも合うので非常に重宝しました。とくに紬なんかに合わせていました。
もう一つ便利なのは、組紐でつくられた半衿です。襟元のラインが綺麗にでます。組紐もいろんな色味で編まれていたりして素敵です。
四季折々の様々な種類の半衿がありますので、お好きなものを選ばれると良いと思います。
浴衣をよく愛用される方は、浴衣の柄に合わせて手ぬぐいで半衿を作ってつけられると良いですよ。また綿絽の夏着物などに手ぬぐい半衿も良いと思います。とにかく襟元は汗で汚れますので、夏などは特に手ぬぐいでつくられると洗いやすいですし楽しいと思いますよ。
これら様々な種類の半衿をお好きなように合わせられますが、
お柄がどんなにすきでも、「季節感」だけはしっかり見極めてください。素材や柄が今の季節に合うのか考えながら合わせると、とても楽しく着物を装えると思います。