色無地とコーディネートのお話

色無地とコーディネートのお話

色無地について

色無地・・・
柄がついていない、一色だけで染められた着物です。これを色無地といいます。
また同じ色で”ぼかし”の入っているものも色無地と言います。非常にシンプルな着物です。

色無地の格

紋が付いてない場合・・・小紋と一緒の格になります。街着と同じ格として評価されています。
一つ紋付の場合・・・略礼装になり、きちっとした礼装の場所に着ていけるので、例えば結婚式などでも通用する格になります。

礼装の代表は「黒留袖」「色留袖」がありますが、その次の格である準礼装では「訪問着」があります。訪問着は非常に艶やかなお着物です。それに比べて色無地は一色のお着物ですので、一見見劣りします。しかし、色無地に3つの紋をつけると、訪問着よりも格上のお着物になります。

紋の数によって格の振り幅が非常にあるお着物ですので、お作りになる時は紋の数を考えてみるとよいでしょう。

お茶会、特に11月のお茶会に行く時は一つ紋の色無地で行かれるかたが多いと思います。今の茶会は数百人単位で行われるのですが、本来の茶会は「お茶事(おちゃじ)」といいまして、朝から晩まで少人数、一対一で招待し接待するものです。一期一会のお茶を立てるのが本来です。

そうゆう形で行われていましたので、昔のお茶会や初釜には3つ紋の色無地で参加することがほとんどでした。しかし最近のお茶会は本来の形ではなくて、一部分をとりあげて行っているものがほとんどですので、一つ紋の色無地が一般的になりました。一つ紋の方が様々な場に着ていきやすく重宝ですので、人気があるのが現状です。

色無地の特徴

お着物には”染め”と”織り”がありますが、色無地は”染め”の部類になります。一般的に染めのお着物の方が格のあるお着物と言われています。

色無地は、柄がなく一色に染めるだけですので一見簡単に思えますが、一反4mもある反物を人の手で均一に染めなければなりません。これは大変手間がかかります。数ミリでも色ムラがあったらそれは正規商品にはならないのです。もちろん、機械を使った安価な色無地もありますが、職人が染めた色無地はこのような手間から仕上げられます。

柄がないので素材(生地)の良し悪しが一目でわかってしまうのが色無地の大きな特徴です。柄や色味で生地そのものをごまかせないのが色無地ですので、選ぶ際には、このあたりを踏まえてチェクされるとよいと思います。

色無地の地紋について

地紋のある色無地は一般的に、慶事用、仏事用とわけられていますが、どちらにも使える地紋もあります。「流水」「雲」「波」「有職紋様」を選んでいただきますと、慶弔どちらにも使えます。

慶事・祝儀用の地紋
吉祥文様
(花や鳥、うちでのこつちなど)、松竹梅にちなんだもの(竹だけ、梅だけなど、)
名物裂(めいぶつぎれ)という文様などもあります。

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これらは普段お出かけのの色無地にも使える

お茶会
あまり大きな紋様より、控えめな地紋を選ぶといい。慶事・祝儀用のものや一般的な地紋でお好きなものを選ぶといい

仏事
お悔みなどの時
梵語文様などの地紋は、仏事にちなんだもの。

色無地の色について

使用目的に合わせたものがいい。慶弔どちらに使うのかを念頭に、お喜びであば、明るく晴れやかな色が良いですね。

弔辞ですと、紺、藍色、灰色、緑などで、トーンを下げた暗い色味を選ぶとよいと思います。

色無地を一応作っておきたいという場合は、ご自分のお好きな色でよろしいかと思います。
そのお色がどうしても本人の顔色とそぐわないことにならないよう、長く着るものですから、ご自分と合う色を探してるのがよいです。

信頼できる呉服屋さんで、そのようなことを相談すると顔色に合ったお色味のものを合わせてくれると思いますので相談してみるのと良いでしょう。

紫色の色無地のコーディネート

紫色の色無地は、祝儀でも不祝儀でもどちらでも着ることが可能です。お悔みのときは、紫のトーンがぐっと暗い感じのものを使うので、兼用する場合は、コーディネートの工夫が必要になるかと思います。

年配の方が暗い感じの紫の色無地を慶弔両方で着るにはコーディネートのしやすさがあると思いますが、若い方がこのようなお色味のものを着る場合、特に慶事で着てしまうと落ち着きすぎて華やかさに欠けたり、老けて見えてしまう傾向にありますので、難易度が高くなるでしょう。

慶事ではお祝いのお気持ちを装いで表しますので、若い方でどうしても慶事にこのような色味を着るのであれば、袋帯を格調高く華やかなものを選び、半衿にも可愛らしく華やかな刺繍がほどこされたものをつける、その他小物にも金糸銀糸の使われたものにするなど工夫してください。

色無地で子供の卒業式に出席する際のコーディネート

子供の卒業式などに色無地で出席するのは、非常におすすめです。一つ紋付の色無地でしたら、言うことなしにその場に合ったお着物になります。

しかし紋なしの色無地でも、帯を格調高いものにされますとお子様の卒業式や入学式でも着ても良いお着物になります。これは、帯の格を礼装、準礼装に準ずるものを選びますと、お着物の格も一緒にあがることからいえます。この場合は、帯を「袋帯」で二重太鼓になさり、銀糸金糸が織り込まれていれば良いでしょう。

その時の小物類ですが、「帯の格に合わせる」が基本です。帯揚げ、帯締め、格調の高いものを選び、半衿や足袋は白を合わせましょう。バッグや草履も礼装用のものにすればこのような場面に遜色なく着られます。

色無地でカジュアルなコーディネート

色無地のとても楽しみなことは自分でつくれるという点です。

地紋の織られた白い反物を自分の好きな色で染められるのがとっても楽しいのが色無地の長所だと思います。

普通、フォーマル用の色無地ですと、八掛(裏地)には表地と同じ共色で合わせるのですが、カジュアル着用ですと自由に色を選べます。八掛は歩いた際にちらっとしかみえませんが、表地と同じ色のグラデーションにしてみたり、表地と全く違う色(さし色といいますが)を持ってくるのもとっても楽しくておすすめです。

ご自身のセンスで素敵な色無地を作れるというのは、他の着物ではなかなかできないことです。色見本は呉服屋さんや染物やさんにあるので100種類以上の色が揃っているので、ご自分にあるぴったりの色を探してみてください。、出来上がった着物では選べないですし、ご自身の好みや顔色に合うものを選び仕立てると着るのが本当に楽しいですよ。

また、「これからこんな場面で楽しみたい」という希望があればそれに向いた色味を選んでいただければよろしいとおもいます。

カジュアルな街着ですから、自分流で自分で楽しんで着れる最高のお着物になるとおもいます。

使いづらいと思っていた名古屋帯が、案外合ったりと新しい発見もあります。また半幅帯を合わせるのもよいですね。もったいないですが使い方ですが、すこーし格調高い帯を半幅に仕立てられて何十種類もある結び方から好きな結び方をして色無地に合わせると、これまた素敵です!バリエーション豊富な印象の着姿ができるかと思います。

また衿も表地と八掛と合うような色が楽しいです。フォーマルですと足袋も衿も白ですが、カジュアルですとお好きな色が選べます。

もう一点の楽しみかたとして
家紋ではなく「飾り紋」をつけられるとよいですよ。

私の持っている中で特に好きな色無地なのですが、トーンを抑えた紫の色無地があります。お悔みでも着られるような色合いですけれどもそこに洒落紋を「折り鶴」を染め抜いてもらいました。同じ色無地を着るんでも、これは着ると楽しいです。わずか一点のちがいですが、このお気に入りの洒落紋がついているのとついていないのでは気分が違います。ついこっちの色無地をきてしまいます。

自分の好きなものが一点でもあるとやっぱりお気に入りになりますよ。刺繍の紋を入れてもらったりもできるので、自分好みのお着物を作られると良いと思います。

格式を高くすれば高くなりますが、
カジュアルとしての色無地こそ一番楽しみ方がある着物ですし、その方の個性が一番でやすいお着物のカジュアルな装いだと思います。

色無地の楽しみ方 番外編

カジュアルではなく、仕事着くらいの格、洋服でいうスーツくらいの格として着れるのが、色無地の「紬」や「ちりめん」です。この色無地には紋は入れませんが、カジュアルなシーンではなく、少しあらたまった場で着れるのが特徴です。

お着物の好きな方や仕事でもお着物などを着ていける方は、ぜひ紬や縮緬の色無地を揃えるのもおすすめですよ。今までと全然違った楽しみができると思います。


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