単衣着物 6月の帯
単衣着物は6月、9月の2ヶ月に着るものですしお柄に季節感があまりないようでしたら6月にも9月にも着られます。
しかし帯となるとそうないきません。帯で季節感や格を出していきますので、6月と9月で全く意味が違ってくるのです。
単衣着物に合わせる6月の帯について
6月は「爽やかな夏を迎えたい」という思いを込めた着物ですので帯も涼しげで爽やかな印象のものを選びます。6月の中旬以降は夏帯を使い始めてもかまいません。
日常着(街着)であるウールや木綿、小紋のお着物に合わせるのであれば、まずは”半幅帯”がすごく楽しいと思います。
※半幅帯の結び方にも色々あります。浴衣を着たときに締めるような”文庫結び”ができるようでしたら、そこから発展して色々なアレンジ結びをマスターしていくと楽しめるかと思いますよ。
兵児帯
もっと簡単な帯ですと、「兵児帯」ですね。最近は本当に多くの種類の兵児帯が出ています。木綿、紬、織りの兵児帯などもありますので、楽しく結んでいただければと思います。
私自身、反物のまま放っておいたものがあったので、両サイドを縫いかがっただけですが、それを兵児帯にしました。そして着てみたら、非常に楽なんです。これはいいなと思いましたので、まだまだ残っている絹や木綿の反物も兵児帯にしようかなと思案中です。皆様ももしそのような反物がお家にあるようでしたら「兵児帯」にするのはおすすめですよ。
博多帯
博多帯は、非常に締めやすくて着崩れしにくいおすすめのものです。
今は織り屋さんの企業努力もあるのでしょう、昔ながらのお柄である”博多献上”以外にも、「これも博多帯なの?」と触ってみて初めてわかるような様々な種類の本当に素晴らしい博多帯が出ています。
そして、博多帯は帯芯なし(裏生地無し)の一枚で締められるので気軽ですし、オールシーズン使えるというのもまた良いですね。
夏場は涼しげな柄がよいですが、6月の単衣の白っぽい着物を着た時は、博多の帯は少しシックな色柄のものでも良いと思います。
博多の帯でも”紗献上”というのも出ています。博多織の間に紗がはいった、薄く涼しげな帯です。夏の帯ではありますが、盛夏に締めていただくと考えていただければと思います。6月の後半の暑い日から8月まで締めるものです。
可愛い色味などでていますので、少々お年をとっていても帯だけは少し可愛いのを締めても良いのではないかと思います。
単衣に合わせやすい帯
綴れ帯、紬の帯、八寸名古屋、塩瀬の帯などがあります。
綴れ帯や紬の帯は袷ではない帯ですし、単衣着物にも合わせやすい帯と言えます。
また塩瀬の帯などは袷で作られていますが、白っぽい色味のものがほとんどですのでこの時期には合わせやすかと思います。
どちらにしても夏に向けた花や柄を選ぶとよいでしょう。例えば、朝顔、百合の花、テッセンなどがありますね。※厳密にいいますと、花の時期の始まる前から3分咲きの頃までしかそのお花柄を締められませんので注意しましょう。
単衣着物 9月の帯
ここまで、6月の単衣着物や帯について季節感のお話をしてきましたが、必ずしも季節感をださなければならないということでもないんですね。例えば幾何学的な模様の帯などを使いますと、季節感関係無く締めれます。
でもやっぱりこの時期1ヶ月だけのお着物だから季節感を出したいな・・・という際の秋の帯の柄のお話をしていきますね。
まずは秋の七草ですね。桔梗、おみなえし、萩の花、葛、野菊などですね。これは9月の始めから9月いっぱいくらい、ほんの少しの時期しか利用できませんけれども、深まりゆく秋を楽しみに待っているという模様の帯です。
またそうゆう情景を思わせるような帯でもよいですね。たとえば、塩瀬の帯ですと、ご自身でお好きな絵柄を描いてもらえます。お月様にうさぎの絵なんてこの時期ですとよいですね。
あとは一般的な袷の帯もこの時期は単衣着物に合わせられます。お柄は一気に冬柄のものを合わせるのではなく、もしお持ちでしたら季節が深まっていくように、合わせる帯の柄を徐々に変化させていくと良いかと思います。
単衣着物に合わせる小物
着物はお柄と色合いさえ気をつけていただければ6月と9月兼用で使えますが、帯はそうはいきません。6月は夏に向けた印象のもの、9月は秋〜冬にかけた印象のものを選びますので、小物はその帯に準じたものを使います。
帯が夏模様の場合
「帯揚げ」は、色合いは軽やかに。素材も楊柳という地模様のものを使ったり、絽縮緬、薄物の綸子、などを使います。
「帯締め」も、紐を編み上げたレース、冠組(かんむりぐみ、ぬくぎぐみ)、などがあります。冠組は、ほどけにくくて非常便利なものですし、色合いもたくさん出ています。カジュアルでも略フォーマルでも使えるものですのでとても便利です。
帯留めに使います三分紐ですが、あまり素材に違いが無くオールシーズン使えるものですが、やはりその季節に応じた色合いのものを選んでいただけたらと思います。
「半衿」ですが、夏のイメージの帯にしましたら6月でも”絽の半衿”にします。必ず帯に準じて季節感を統一させてください。
9月の場合
9月の前半はまだ暑かったら夏帯でも大丈夫ですが、基本的には袷の帯を使います。
その際の小物類は、
「帯揚げ」は綸子や縮緬を使い、薄物の綸子などは使いません。
「帯揚げ」も「帯締め」も袷の着物に使っているような帯締めでよいです。
「半衿」も塩瀬の半衿に変えていきましょう。
単衣着物 注意点
単衣着物は裏地なしで仕立てられていますので、丈夫ではありません。裏地がないということは、表地そのものに動作の負荷が全てかかります。絹の糸がほつれてしまわないようにお仕立てのときに”居敷当て”というのを腰から下に付けてもらえます。
立ったり座ったり、正座などをしたり何度も着てくなかでほつれてこないようにするのが”居敷当て”ですが、だからといって安心はできないんですね。
ですから立ち居振る舞いのときは、極端な動きをしないで、着物に優しい立ち居振舞いをしてください。これが、単衣の時の注意になります。
単衣着物 洗濯
単衣着物の洗濯は袷と違いまして、お家でできる機会が多くなります。とくに木綿やウールはお家洗い向きです。
お着物をネットに入れて洗濯機で洗うこともできますけれども、できれば綺麗に着物畳みをしたものを、大きめのシンクやお風呂場なんかでやわらかく押し洗いするのが良いんではないかなと思います。もんではだめですよ、やわらかく押し洗いです。何度か水をとりかえて洗い、少し手で絞ったら、タオルケットなどに畳んだままのお着物を巻きつけていただいて脱水機に1分以内かけるのです。
そうするとほぼ水気はとれますので、そうしましたら着物ハンガー等にかけて乾かしてください。焼けちゃいますので、もちろん陽の当たらないところで乾かしてくださいね。
そのあと、ウールや木綿は当て布をしながら弱で軽くアイロンをしていただくと綺麗に仕上がると思います。
絹のやわらかものについてですが、これも同じような順番で洗っていただいてもよいのですが、心配でしたらやはりクリーニングにだされてたらよろしいかと思います。
単衣といいましても、絹ともなりますとお仕立て代も何万もしてお高いですので、1シーズン着たあとはクリーニングに出したほうが無難かと思います。
一般のクリーニング屋さんもお着物を扱ってくますが、どこの呉服屋さんも年に1、2回、最近は洗濯時期になりますとお安く数千円でクリーニングをしてくれますので、その時期を見計らってクリーニングにお出しになるとより経済的かなと思います。