活力の波動 〜着物の心2〜

春はあけぼの

やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて・・・

風景描写が美しい随筆・枕草子。

菜の花畑に 入り日薄れ・・・

美しい景色が鮮明に浮かび、なぜかほのぼのとした気分になる好きな歌です。

田舎暮らしを知らないのになぜか懐かしく思うのは

日本の原風景だからでしょうか。

私の美しい風景との出会いは

此の様な素晴らしい歌詩との出会いによるところが多いいようです。

男性的な漢詩調の土井晩翠の詩も好きです。

日本の春・秋、人の世の儚さと巡り来る自然を詠った「荒城の月」。

月を見ながらグラウンドをジョギングしている時に思い出すのは

「星落秋風五丈原(ほしおつしゆうふうごじようげん)」でした。

自分を顧みる時間を持たせてくれたこれらの詩歌にどれほどか救われてきた事か。

美しい表現には人の心を自在に動かす活力があるようです。

「日本画の絵の具でもって、日本に生まれた自分の感性を生かす」と言う

大好きな東山魁夷の絵画。

素敵な一言が印象に残っております。

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「風景は心の鏡である

庭は其の家に住む人の心を最も良く表わすものであり

山河にも田園にもそこに住む人の心が映し出されている

川も海も同じである

其の国の風景は其の国民の心を象徴する」と。

いきとし生けるもの全てが無常のうちにあるといい

だからこそ自然は美しい・描く事は其の一期一会の証で無ければ成らないとも。

そんな「末後の目」で自然を見、自然を描いたと言われています。

命を削り残してくれた美の世界。

彼らの心の響きに感応して、

胸の奥深く眠る私たちの美の感性が呼び起こされていきます。

其の感動は生命力・エネルギーと成って私たちを潤していくのです。

充ちあふれた生命、それを美というそうです。

感動が大きく深い程、溢れる生命の力は何処までも連鎖して、

貴方の喜びの生命・活力は波動し巡ります。

「美」は美しさを求める心に呼応していくものです。

芸術だけではなく生活の一コマ・一コマも同様では無いでしょうか。

清澄で美しい朝の佇まいと、ご主人を慈しむ優しい思いやりの貴方の言葉が、

彼の一日のエネルギーの源泉と成る事でしょう。

美しい心は、目には見えませんが、必ず言葉となり、行動となり・人の心を

動かしでいきます。

日常生活の中にある自然・目に映る事物、それは何時ものように変わりません。

でも同じ様には見えません。

降る雨にある時は

甘露の雨のように思い、何時の日か必ずと心定め

窓を打つ雨が涙の様にみえ、悲しみが募る

草木に息吹を与えてくれる恵みの雨に感謝の思いを起こす

雨には変わりないのに、人は雨にさまざまな思いを抱きます。

受け止める心が大切なのですね。

万華鏡のように変わる心が、其の景色の色を変えて映します。

そうだとしたら人の心の有り様で、如何様にも感じるものなのですね。

まず出来る事から。

美しさをしっかり受け止める心が有るのか無いのかと言う事が重要になってきます。

では、貴方を囲んでいる環境を、美しいと感じられるようにするには

鏡を磨いてみる

花を生けて見る

廊下を丁寧にみがいてみる

此の様に、身近な物から美を積み上げていくことでしょうか。

気持ちがいい・癒やされる・穏やか気持ちの積み重ね。

其の積み重ねがあなたの感性を磨き、美に俊敏に感応する様に

成っていくのではないでしょうか。

美意識は素晴らしい美術品を目にする事は勿論大切な事ですが、

身近な日常生活の中から磨いていく事も必要では無いかと思っています。

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投稿者: mika

『かしこく、たのしく、うつくしく』をめざして生活のなかに自然と着物と「和」の心をとりいれ、着物生活を楽しみたい方を応援する着物教室です。

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